アマゾンで『風の谷のナウシカ』7巻ボックスセットを見つけて、ふらふらと購入ボタンを押してしまった。
医者の待ち合いなどで断片的に読んでいたので、通しで読むのは今回が初めて。第7巻は見たこともなかった。93年に後出しで刊行されて、そのころはナウシカなんてオタクっぽいし、こっ恥ずかしくて買えないと思っていたから。映画は何度かテレビでも見ていたけれど、原作の趣きとどう違うのか、それも知らなかった。
刊行されていた当時は、80年代で私は10代だった。環境問題とか、帝国の横暴とか、そういうのと絡めて語られてたよなあ。ヒロイックな言動にあこがれた。覇道を行くクシャナの方が、ナウシカより好きだった。
今回あらためて読み起こすと、クシャナは覇道を突きつめた末に「血で清められ」王道を行くことになっている。ナウシカは世界を救うために、周到に用意された未来の種を破壊しに行く。慈母と鬼の両面を表して。
10代のあれから、世の中は単純じゃなくなって、善悪も個と全も、民主主義と帝国主義と資本主義と共産主義と、何もかもが構造の格子からすり抜けて落ちていく感覚がしている。いつの間にかクシャナより年寄りになっていて、たぶんもうちょっとしたらユパと同じぐらいになるんだろう。
年を取ってしまった私の複雑になってしまった世界では、最後に残るのは、愛、というと恥ずかしいとしたら、出会いとかつながりとか、そういうものなんじゃないかと最近思っているのだが、その確信を深める内容だった。コミュニケーションとノード。
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